20代介護⑬

急性期(脳梗塞の発症から2週間)が過ぎてからです。
2週間経ち急性期が過ぎたといっても安心は全く出来ませんでした。
母は心臓が悪く呼吸も常に苦しそうです。
また体に水がたまりやすいので利尿剤を使って尿を出すようにしていました。
ネットなどで
「脳梗塞になってしまったら」
などの記事では2週間経った後にすぐリハビリ始める方が良いと書いてあります。
母は飲み物、食べ物を飲み込むことが出来なくまたベッドを30度以上の角度に上げることが出来ない。
そして右側が全く動かず言葉もしゃべれない。
寝たきりの状態でした。
医者と相談しても
「リハビリはまだ出来ない。当分安静にしていないといけない」
と言われこちらとしては何もできない状態です。
53歳で寝たきりになってしまった母。
しかし母の前では悲しみの顔は見せられません。
どんなに落ち込んでいても病室に入る前に1度気合を入れて顔の表情を明るくし、母のそばに行きました。
急性期過ぎたのでここからは母だけの事を考えるわけにはいきません。
現実的なライフプランの見直しが必要になってきました。
まず家にあるお金は全くない。
借金は70万前後。プラス母の保険の契約者貸し付けの金額。
(契約者貸し付けの金額は母の通帳を見る限り150万近くありました。この金利が年5%ぐらい)
そして解約返戻金が260万位。
家にかかるお金が家賃、水道、光熱費、電気、電話、インターネット、保険、駐車場代などで13万位。
病院にかかるお金が月色々合わせて13万位。
(最初の月は結構かかります。その後限度額認定証を使うと医療費は4万円しないくらい。ただオムツ、食事代は別で月4~5万位になる。
後はテレビ代金。病院のテレビは有料で13時間1000円。
最初は母見れる状態ではなかったのだが2、3か月目ぐらいからテレビを見れるようになった。
これが月3万円。携帯テレビにしようとも思ったが小さく見えずらそうだったので辞める。
悩んだが他に何も娯楽ないので必要経費と考えた)
他には自分の食事代、仕事の経費、こずかい(ほぼタバコ代)
を考えると月約35万近くの出費がかかる。
これは自分が遊ばずに仕事のみして生きていくための必要な金額だった。
すると単純計算で420万年間の出費。
他に車の保険、固定資産税、住民税、健康保険、国民年金
(自営業の仕事形態の為)
等のお金がかかる。
すると年収500万位では先がない事に気が付く。
30歳前で年収500万はまあまあいい会社でないといかない金額のはず。
年収500万でもいろいろ引かれると手取りは400万ちょっと。
かなり厳しい数字が出てきた。
家の住宅ローンはあと24年あり売却してもマイナスになる。
あと他に頼れるものをいろいろ考えたが何もなかった。
まずこの中で削れるものは
・自分の国民年金。
・保険の見直し
だった。
国民年金は役所に行き免除申請をする。
(お金ない人でも国民年金の免除申請は絶対した方が良い。理由としては収入ない人ならお金払わなくても老齢年金の半額給付、遺族年金と障害年金は普通に対象になる為。)
そして保険の見直しだが私と母で月3万円近く払っている状態だった。
しかしながら貯蓄性の割合が7割ぐらいの保険の為、何度自分のなかでシミュレーションしても必要という判断。
ただ私の医療保険が月額1万円だったのでそこを減らして死亡保険を少し入ることに。
理由は単純に自分が死ぬことを想定したため。
(母が倒れてから「人は突然何か起こる」という事が頭から離れられなくなりました。)
それでもあまり出費を抑えられない感じである。
そうすると何個か選択肢が出てきた。
リストにすると
・自分が稼ぎ月の手取りを50万以上にする。
(年収700万ぐらいにする、すると自分も余裕もてる)
・母の保険を解約する
・親父に任せる
・生活保護になる
・自分が死ぬ
真剣に考えるとこの選択肢が出てきた。
親の保険は利率が良く貯蓄性も良かった為解約するのはもったいない。
解約しても一時しのぎにしかならない。
それならばまだ自分が借金した方が良い。
親父には絶対に話したくはなかった。
自分が事故や鬱、または大きな病気になり動けなくなってしまう以外は話すことは絶対にない。
生活保護に母をさせたくはなかった。
そして最悪追い込まれたら自分が死ぬ。
(自殺は保険契約から3年たてば出る保険に入っていたので)
全てマイナスの意見である。そこを考えていくと絶対にそうはなりたくなかった。
そうすると後は
「自分が稼ぐ」
これしかなかった。
今までの最高年収は600万ちょいぐらい。
ただそれは一番良い時であり今は違う。
他の仕事でいきなり50万以上手取り給料をもらいながら母の看病も出来る仕事。
そのようなものは思いつかなかった。
母が生活保護になる事や、父親に言う事、自分が死ぬこと。
全て嫌である。
「絶対に稼がなくては死んでしまう」
今の業界を4年近くやっていたが本当に初めて真剣に仕事をしようと決めました。
なぜなら最悪母と自分が野垂れ死にしてしまうから。
ここまで考えると本当に後がなくなり毎日の行動が
全て変わっていくようになりました。
手取り50万以上を毎月コンスタントに稼ぐ。
それが自分が余裕をもって今後生きていくための必然だと思いました。

また保険を見直したと書きましたが全て受取人が母だった為、全て弟に変更。
そして自分が死んだら1800万位になるように入りなおした。
これは最悪3年後に借金まみれになっていたとしても自殺すれば弟にお金入るから。
(自殺で死にきれない場合医療費は全額自腹になるので要注意。
その時は高いところから飛び降りようなどと考えていた)
そうすれば弟も余裕をもって母の面倒見れるでしょう。
今の自分の環境のようにはしたくなかったので。
あともう一つのリスクが自分も脳梗塞になってしまう事。
その時は弟に
「もうどうしようもないから俺とお母さんを生活保護にしてあげて。
そうしないとお前もつぶれていくから」
と言ってありました。

全てマイナスの話ですがリスクに対する考えの話です。
最悪のことまで考えると
「自分はそうなりたいのか」
と自問自答します。
すると
「そうは絶対になりたくない」
という答えが出てきました。それに死ぬことも考えてますが自殺する気はこれっぽっちもありません。
「自分が死んだら母はどうなる」
一番の親不孝な事だと思いました。
追い込まれたら一度ここまでしっかり考えた方が良いかもしれないですね。
そうすると今後嫌な事や落ち込むことがあってもこのマイナスな事を思い出します。
そうすると意外に早く立ち直れました。
(ただ逆ギレします。近くの悩みなさそうな人たちに)
私はこのような考えで母の病気と立ち向かっていきました。
参考になればと思いますがちょっと極端ですね。
20代の率直な意見でした。