20代介護⑥

翌朝も朝早く病院に行きました。
朝9時に転院の出発です。
母は絶対安静な状態なので不安でたまりませんでした。
出発まで待っているときに携帯に電話がかかってきます。
電話を取ると今度行く病院からの電話でした。
話の内容は
「今日から入院できるが個室しか空いてないとの事、
1日1万円かかり4人部屋などの差額がかからない
部屋はいつ空くかわからない」
との電話でした。
頭が一瞬で怒りでいっぱいになります。
「なぜこのタイミングで言ってくるのか?」
「個室しか空いてない事をなぜ言わない?」
(昨日医者から聞いたときにその話はありませんでした。
 救急病棟はそういう個室などは関係ないので個室料金の事は考えもしてませんでした。
 母のことで頭がいっぱいなので)
「お前は契約してお金払った後、実は他にも
料金がかかるんです、と言われたらお前は
どうするんだ。」
畳み掛けるように怒り口調で話します。
私にお金はありません、その上今後お金がいくら総額でかかるのかもわからないです。
そして1度入院したら空きが出るまで個室料金を
ずっと払わなくてはいけない。
それはいつになるかわからない。
母には出来る限りの治療や良い状態の部屋に行かせてあげたい気持ちは山ほどあります。
ただその選択肢を考える時間が全くなく、
出発の15分前に電話がかかってきました。
1度電話を切り医者に話を聞きます。
「そんな話は聞いていない、
なぜ説明しなかったのだ?」
この時ばかりは医者も私にあやまっていました。
この緊急病棟には私の許可がなければ転院出来ませんでした。
お金が余分にかかることを知っていたら車の移動
というリスクをしょってまで転院するメリットがありません。
ここにいた方が24時間付ききっきりで誰かいるので。
そこを仕方なくしぶしぶ了承したのにこんな話が直前に出てきます。
「あなたが逆の立場だったらどう思います?」
怒りの文句を散々言っていたのですが、そうこうしてるうちに
救急車が来たとの連絡が来ました。
「納得いかないので個室料金は払わない。
そう相手先の病院に行ってくれ。
なぜならあなたたちの連絡ミスだ」
と言って仕方なく救急車に乗りました。
怒りは収まりませんでした、細かい事にも文句ばっかり
言っているな自分は、とも思いました。
ただ今後無駄なお金は使えません。母の治療や状態を
良くするためにこちらが納得できれば借金の金額を
多くしてでも払おうとは思っています。
ただ納得できないことはとことん突き詰めなくては
気が済まなくなっていました。
母と自分を守るためには。
救急車に運ばれて乗っている母を見ます。
「絶対に守ってあげるからね、、、」
母に話しかけるときは優しい口調です。
母の為なら他の人にどう思われてもいい。
そういう決意が芽生えてきました。
救急車で転院先の病院に向かいます。
母は時々唸り声をあげていました。
車の振動が気になるのでしょう、心配でしたが
救急隊員の人もずっとついていてくれていたので
その点は少しだけ安心でした。
20分ほどで病院に着きます。
到着してすぐに検査が始まり個室に運ばれていきました。
すると看護婦の婦長が来て
「今回の件はすみませんでした」
と言ってきました。
ここでも
「自分は納得いっていない」
という事を言うと
「後日事務方の担当者がお話しますので」
と言われました。
こんなストレスを感じることは非常に嫌でした。
急性期で母がまだどんな状態になるかもわからない、本当は母の近くゆっくりいてあげたい。
こんなことでいちいち文句を言うこと自体本当に嫌でした。
お金と命どちらが大事か?
心配をしてお見舞いだけ来ればいい人は命が大事と言う
と思います。
ただ自分で全部やらなくてはいけないときには
常にこの2つのバランスを考えなくてはいけません。
しっかり考えて悩んで悩んで選択を選ばなくてはいけないことがこの後何回もありました。
そのようなときに誰かに横やり入れられるときが
あります。
非常に腹ただしいです。
母には優しく。
他に少しでも心がない言葉を言う人には
敵対心むき出しに。
そのような考えになっていきました。

(当時思ったことをそのまま書いています。
 自分のことながらかなり周りが見えていないやつだな、
 と思いました。
 よほど追いつめられていたのでしょう。
 この状態がずっと続いていきますので、この章のブログは
 怒りの言動が多いです。
 そして理解できないことも多いと思います。
 ただその環境におかれて思ったことをそのまま書きます。
 その事が貴重だと思いますので。)

母は個室で点滴を受けながら寝ていました。
その日からは弟と交代で泊まり込みをすることに
しました。