20代介護⑮

入院期間が30日を経過してきたので以前話していた保険会社の人に連絡しました。
入院の保険を請求するためには診断書と本人確認が必要だというので病院に来てもらい会う事に。
こないだと同じ支店長とおばちゃんが来て
今回の事について再度話し合います。
診断書は保険会社指定の診断書を使って担当医師に書いてほしいとの事。
そして1番ネックだった本人確認の件については、この二人が
1度母親に会い
「息子が代理人になった」
という事を伝えなくてはいけないとの事でした。
この件は私にとって非常に嫌な事でした。
母親は言葉をしゃべれなくなっています。
最近は話しかけると理解力が戻ってきたのか5、6割の話の内容はわかるようでした。
ただ母は知能が落ちているようでお金に関することや相手のことまで考える力がなくなっているようです。
なので医者や看護婦と話すときは母のいないところで病状などを聞くようにしていました。
少し理解力があるので現在の症状や将来に関することの話をすると精神的に良くないと思った為。
なので話しかけるときは日常の些細な事をゆっくり話しかけるようにして、お金に関することや手続きなどの事は一切話してませんでした。
しかし保険の請求をするためには保険会社の人に一度説明を母の前でしなくてはいけません。
他には方法はありませんでした。
保険会社の人と病室の前まで行き少し待ってもらいます。
そしてまず自分が母親に
「保険会社の人が来るから」
と説明します。
母は「ポカーン」とした顔をしていました。
あまり理解できていないようでしたが保険会社の人を呼びます。
そこで保険会社の二人が入ってくるのですが、そのうちの一人(おばちゃんの方)を見た途端突然母が泣き出しました。
このおばちゃんは20年前に母が入った保険の営業で顔を覚えていたみたいです。
そしてその顔を見た瞬間、ふと自分の現状を理解したのでしょう。
保険屋が優しく母に説明します。
母は泣きながらですが左手で僕の方を指さし「息子に任せた」といった合図をします。
確認自体はほんの1分ぐらいでした。
この時母に保険屋を合わせることは心がとても痛かったです。
病気で寝たきりになった人に
「あなたは病気になりました。自分で字も書けず請求も出来ないので他の人を代理人にしますがいいですか?」
と聞かされるのです。
もし自分が同じ立場だったらこの状況はかなり辛いと思いました。
ただ唯一良かった事は母が大きく感情を出したことです。
私や弟が話しかけても昔の事は覚えているのかいないのかわからない表情をしていました。
ただこの時は久しぶりに会った保険屋を思い出し、そして今の状況を理解できる能力を持っている。
記憶と理解できる能力はまだある事が分かりました。
脳梗塞は脳の損傷が広がっていく可能性が大きいのですが母は逆に時間がたつにつれ少しずつ記憶が戻っているような感じでした。
そこは喜ばしい事です。当初の頃は何を見ても感情のない表情をしていいた為に。
保険の請求はその後私が書類を書き、診断書が届き次第母親の口座に振り込まれるとの事でした。
この時には銀行で少額なら引き出せることは既に確認済みだった為問題ありません。
正直保険出たときには助かりました。
お金ない人ほど保険は大事かと思います。
国の医療は限度の金額ありますが、無料にしてくれるわけではありません。
現金が入ることは本当に助かりました。
この後もう1度入院の請求するのですが、既に母と会っているため診断書のみで大丈夫でした。
ただ1回5000円位の診断書料かかりますけどね。
私はこの方法でしたがあまりお勧めしません。
病人に保険屋を会わせることは心が痛みます。
自分の保険確認してみてください。
何かあった時に色々と余計な苦労が多くなります。